訪問診療にかかる費用の仕組み

訪問診療にかかる費用は医療保険によって決まっており、料金は患者の医療保険の種類や年齢、訪問回数、処置内容によって異なります。費用は大きく分けて基本診療費・追加加算される診療費・医療費負担割合の3つです。それぞれについて解説します。

訪問診療の費用内訳

訪問診療の費用内訳は大きく分けて「基本診療費」と「追加加算される診療費」の2つです。これを足して医療費負担割合(1割~3割)を掛けた金額が訪問診療費用となります。

基本診療費と追加加算される診療費は、厚生労働省が定める診療報酬によって決められており、条件によって金額が変動します。

患者が住んでいる場所、訪問日や訪問時間、状況や希望、診療方針などによる追加対応によっても金額が異なります。

基本診療費

基本診療費とは訪問診療を利用する際にかかる基本的な費用のことで、基本診療費=医学総合管理料+訪問診療料×訪問回数で決定されます。

医学総合管理料は、自宅あるいは介護施設(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)に入所しており通院が難しい患者に対して、医師が症状に応じて診療計画を作成、患者の了承を得たうえで定期的に訪問して医学管理(医師が患者に対して医学的に必要な管理・指導を行うこと)をするための費用です。在宅の場合は「在宅時医学総合管理料」、施設に入所している場合は「施設入居時等医学総合管理料」となります。医学総合管理料の中には定期診療に伴う処方箋料も含まれており、毎月1回発生します。

訪問診療料は、診療を1回おこなうごとにかかる費用で、訪問回数や自宅あるいは入所施設によっても異なります。訪問回数は診療計画により定められており、月2~4回が一般的です。

追加加算される診療費

追加加算される診療費とは基本的な診療に加えて、その時の症状や患者本人・家族の要望によって医師が必要だと判断した場合にかかる費用のことです。実施されたときだけに発生するもので、基本診療費に加算されます。

診療費の内容は、往診料や訪問看護料、電話再診料、検査料(血液検査、尿検査、便検査、心電図検査など)、注射・点滴、処置(尿道カテーテル交換、胃ろう交換、創傷処置など)、在宅療養指導管理料、薬代、文書作成料(診断書や各種証明書等の作成費用など)があります。

介護保険サービスを利用している場合は、療養生活において必要な指導や医師の指示により管理栄養士や薬剤師等が訪問して健康管理や相談・指導を行う「居宅療養管理指導」の費用もかかります。ほかにも、緊急で予定外の往診をおこなったときも別途費用が発生します。

医療費負担割合について

医療費の負担割合は10~30%で、年齢や所得によって異なります。

医療負担の割合は以下の通りです。

  • 70歳以上:後期高齢者医療被保険者証あるいは高齢受給者証をお持ちの方  受給者証に記載されている負担割合(現役並みの所得がある方:3割・一定以上の所得がある方:2割・一般所得者等:1割)
  • 70歳未満:国民健康保険・共済組合・協会けんぽ・健康保険組合など 3割負担

例えば、1割負担の場合:基本診療費+追加加算される診療費=合計額のうち10%(1割)を患者が負担することになります。訪問診療にかかる費用の仕組みは在宅または施設、訪問回数や訪問時間(日中・深夜)、症状や希望によって追加の医療行為をおこなうなどです。患者それぞれのケースによって金額は変動します。

最後に、訪問診療の料金の目安についてご紹介します(在宅・月2回の場合)

  • 75歳以上(後期高齢者医療保険制度)自己負担:1割(約6,000円~/月)2割(約12,000円~/月)3割(約18,000円~/月)
  • 70~74歳(高齢受給者証をお持ちの方)自己負担: 2割(約12,000円~/月)3割(約18,000円~/月)
  • 70歳未満 自己負担: 3割(約18,000円~/月)

要介護認定を受けている方で居宅医療管理指導を受けるときは「居宅療養管理指導料」が必要となります。訪問診療と合わせて実施されることが多く、実施する場合は訪問診療の料金に加算されます。「居宅療養管理指導料」は以下の通りです。

  • 3割負担:約1,800円~/月・2割負担:約1,200円~/月・1割負担:約600円~/月※自己負担割合は所得によって異なります。
  • 参照元 横浜ホームクリニック:https://yokohama-home.clinic/2023/10/31/system/(2023年11月時点での情報です。)

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